黒猫 - 迷子の不良黒猫ちゃん - 【完】
「知ってんのか?」
俺がそう尋ねると、男は黙って頷いた。
……てことは、さっきまで此処に居たのは鈴か。
「サンキュー。じゃ、俺、もう行くから。」
鈴を追いかけようと、公園から去ろうとしたが
「あ、……待って!」
男に呼び止められた。
「なんだ。」
「鈴ちゃんに会ったら……コレを渡して欲しいんだ。」
そう言って男が俺に渡したのは、一冊の本。
表紙に「diary」と書いてある。
「これ、日記か?」
「うん。」
「一体誰の……。」
「麗のだよ。……麗の本心が書いてある。鈴ちゃんに…、読んで欲しいんだ。」
俺は男から日記を無言で受け取った。
麗の、だと言っていた。
麗って確か、鈴の友達だったな。
失礼を承知で、日記をパラリとめくる。