ひざまくらの後は?
泣かない子になりたい
数時間前に出た智くんの家に再び二人で戻ってきて私はソファに深く身体を沈めている。

「ほら」

智くんがコーヒーの芳しい香りとともにソファにやってきて、私に煎れたてコーヒーを渡してくれる。

「ありがとうございます。智くんの煎れてくれたコーヒー大好き」

コーヒーを一口飲むと隣に腰を下ろした智くんがカップを置いて私の顔を覗き込む。



「……あの、智くんお姉ちゃんと知り合いだったんですね」

「みたいだな」

「すごい偶然ですね」


ふふっ、と私が笑うと「似てねえな」
とその瞳に私を映した智くんが私の両手の中にあるカップを抜き取る。

カップのなくなった私の両脇に手を差し込むと向かい合うように私を自分の膝の上に座らせた。


こ、この体勢は……、顔が近すぎてっ。

相変わらず整った顔の智くんと目線が同じになり、かあぁっと顔に熱が集まる。
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