Snow Princess ~雪の華~
6
元気よく出てきたものの、マリンは城をさまよっていた。
ディナーの用意で使用人たちは仕事に忙しく、誰に聞くこともできずに、リリアの居場所がわからない。
ため息をついて戻ろうと振り返ったそのとき、角を曲がる見慣れた背中を見つけた。
「リリア!」
「マ、リン様……?」
リリアは弾かれたように振り向き、そこにたたずむマリンの姿を見て目を丸くした。
「よかったわ、見つかって。
私、もう一度ちゃんと落ち着いて貴女とお話したくて…」
胸に手を置いて息を整えると、一気にまくし立てた。
「とりあえず私を部屋まで案内して頂戴。いくら城は私の家と言えどもこんなところまで来たのは初めてだもの、迷っちゃったわ。
戻ったらすぐにお茶を淹れてね。もちろんお茶菓子も忘れちゃダメよ? 確か今日は城のパティシエがお菓子を作って運んでくれてるはずだから。
とにもかくにも話はそれからよ」
少しだけ、リリアは先程自分で言ったことを撤回したくなった。