溺愛キング

お騒がせ


矢耶Side―――――*―――――


カーテンの間から射す光が眩しくてぱちっと目が覚めた。

目の前には広い胸板。

目線を上げると整った藍の寝顔。

どこかあどけなさが残っている。

総長だからと言って藍は至って普通の高校生だ。

睫毛が長いなぁ。


って――――……ん?

ふと首辺りに違和感を感じた。

鍛えられたほど良い引き締まった腕が首の下に伸びていた。

しかも、もう片方の腕は逃げれない様にガッシリと腰に置かれていてた。

なんか悪いことしちゃった。

先に寝ちゃったのに腕枕してくれてる…

無性に嬉しくなって藍にぴとっとくっついた。


「ん〜〜〜」


矢耶が動いたからか藍は目を少し開けて声を出した。


「もう朝?」


矢耶を抱きまくらだと思ってるのかな、ぎゅーっと抱きしめてきた。


『ふふ。
もう朝だよ。起きよ。学校に遅れちゃうよ。』

「もうちょっと寝たい。」

『ダメだよー』


藍から離れて体を起こそうとしたら余計に抱きしめられた。


「分かったよ。仕方ねぇな。充電だから少しくらいいいだろ?」


充電って…

いつも人前でも抱き着いてくるくせにさ!

っていうのは思ってても口に出さない。

だって後が怖いじゃん。

昨日もさんざん可愛がられたし

おかげで腰痛いよ。
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