街は静寂に包まれているが、一度裏路地に入れば、煌びやかな夜の世界が広がる。

若い娘を担ぎ上げた俺は、きっと人買いに見えるだろう。

俺は、ケビンと通い慣れた道を行き、〈桜凛〉の扉を開いた。

相変わらず、セスリスの独特な香の香りがする。

乱暴に扉を開いた俺を、客を含めた全員が振り仰ぎ、それから一様に目を丸くした。

最初に我に返ったのは、主人だった。

「アーヴィ?」

慌てて立ち上がったのでグラスをこぼしたが、彼女は気に留めずに駆け寄った。

「アーヴィなのね? 無事だったの? ……その娘は?」

俺はカヤを降ろし、主人に押し付ける。

「エリコの妹だ。匿ってやってくれ」

「妹?」

「馬鹿!」

身体が自由になるなり、カヤは俺に怒鳴った。

「わたしは戻る!」