休むようにと部屋を用意されたが、生憎そんな気分ではない。

まさか宰相邸にまでエーデルシュタッドの手が届くとは思わないが、休むのなら、決着をつけてからだ。

空が白みだした頃、密かに部屋を抜け出す。

眠ってはいないが、しばらく横になっていたので身体は楽だ。

ロートリア家は、古く格式高い家柄だと、聞いていた。

なるほど、広い邸内は時代掛かった造りになっていて、外観も一昔前の流行りの様式だった。

母親の選択次第で、この邸の厄介者となっていたかも知れないと思っても、まるで実感が湧かない。

俺は無意味にでかい扉を引いて、外に出た。

噴水が、どこかで閑かに水音を立てている。

魔導石の手掛かりは無くなった。

エリコの言葉は正しかったのか、間違っていたのか、または俺を嵌めていたのか。

だが魔導石が見つからないなら、奴を“消す”ことから始めればいい。

俺は帝都の一等地を駆け、国立研究所に向かった。