「なるほどね」

俺達が来た経緯を聞いたエリコは、クッキーをつまんで言った。

「第九部隊がセスリスの都で公開処刑されたと聞いて、あなたも死んでしまったと思っていたけど、無事でよかったわ」

「死など怖れていないつもりだったんだが。――それでだな、エリコ……いや、ユエ?」

「死が恐ろしくない人間なんかいないわよ。
わたしの本名はユエ。まあ、あなたに名前が四つあるように、エリコもユエも、両方わたしの名前だけれど。あなたにユエって呼ばれるのは変な感じね」

「それだけれど、姉様。なぜ偽名を?」

カヤが紅茶のカップを両手で包んで訊くと、エリコはクッキーのバスケットを妹の方に押しやった。

「おいしいわよ。食べなさい」

「姉様!」

カヤは顔を赤くして抗議する。

「誤魔化さないでよ!」