黒い海に浮かぶ船体。

 乗客が手に持つ物は各々が所有する武器。


 刃が向けている先は禍々しい邪気を放つ巨大な竜巻。

 
 

第五章 魔の海域





晴れ渡る空に見守られた地に立つモラを仲間にしたシルフィー達。空の領域にいるため下界へと降りなければならない。


「大峡谷に戻らないと」

 テレポートエリアがある場所は大峡谷の中腹。フェンは戻ろうと提案する。


「戻らなくても大丈夫ですよ」

「どうして?」

「私がその場所まで連れて行きます」


瞼を閉じ神経を集中させる。モラの長いまつげが揺れた。微かに吹いている風が止んだ。辺りの空気が動き始め風を再び呼び起こしシルフィー達へと向かう。風が体へと巻きつくふわりと体が浮き始めた。


「わっ、浮かんだ!」

 体全体を何かに持ち上げられているような感覚を感じなすがまま少しずつシルフィー達は浮かび始める。


「お連れします」

 同じ目線に浮かんだモラは進行方向へと向くと空を流れるように飛んで行った。あっという間に行ってしまい「待って」と言おうとした瞬間、グンと体が前に引かれモラの後を追うように飛んだ。




 夢だ。

いや、顔全体にまとわりつく風が本当だというかのように当たる。自分が空を飛ぶなんて思ってもいなかった。詳しくはモラに引っ張られているのだが、飛んでいるような感覚は感動した。


「すごいすごい!!」

 憧れていた空中浮遊を体験することができシルフィーは興奮気味。空中浮遊は誰もが夢に見る。鳥になった気分で空を移動する。

 草原を過ぎ街を通り過ぎる。相当な時間をかけて移動した場所なのに飛んでいる速さはかなりのものだった。

あっという間に大峡谷が迫っていた。


 テレポートエリアに着くとシルフィー達は地面へと着陸した。