偽りの結婚(番外編)
お酒は20歳から【完結】



その日は、いつもと様子が違うと思っていたんだ……――――






まだ薄暗さの残る朝―――

意識がまどろむ中、うっすらと目を開けば…

やっと昇り始めた太陽がカーテン越しに控え目に主張していた。




腕の中の愛しい存在はまだ夢の中。

すっぽりと収まる腕の中で気持ちよさそうに眠っている。

いや、正確には疲れてぐったりしている…の間違いだろうか。

昨夜、散々酷使した為、シェイリーンが起きるのは少し先だろう。

これも全て計画のうちだった。



まぁ、計画などなくともいつだってシェイリーンを求める欲望は抑えられないのだが…



心の中で苦笑した後、ゆっくりと自分の服を掴むシェイリーンの手を解いていく。

いつもならばまだ寝ている時間だが、今日ばかりは起きなければならない。

ギシッとキングサイズのベッドが小さく軋んだ後、ベッドからスルリと抜け出す。



「シェイリーン、また後で。」

ズレた布団をシェイリーンにかけ直し、頬へ口づけを落とす。

シェイリーンは、んっ…と小さく声を上げたが、深い眠りについているのか、目を開ける事はない。



それを愛おしく眺めた後、静かに寝室を出た―――



< 351 / 547 >

この作品をシェア

pagetop