偽りの結婚(番外編)
ある日の休日【完結】



タッタッタッ…――――

廊下から聞こえてくる小さな足音。

大人の足音にしては軽いその音は2つ。

駆け足でこの部屋に向かってくる。




今日はこの時間か。

まぁ僕はいいんだけどね…

クスッと笑いながらキングサイズのベッドを軋ませて起き上がる。




「ん……」


隣で眠る最愛の妻は身をよじるもまだ夢の中。

どうせ今起こしても間に合わないな。




そして…―――――

足音はこの部屋の前で止まる。



「…ナ、や…っぱり……ようよ……」

「や……くの……」



扉の向こうから小さな声で何かやり取りをしていたが、結局キィー…と静かに寝室の扉が開いた。

小さな頭を少しだけ扉から覗かせ、部屋の中を見渡す。

シェイリーンの瞳を思わせるエメラルドグリーンの瞳がこちらを捉えると…



「父様!!」

「あっ!レナ!」


少しだけ開けていた扉を勢いよく開き、肩まであるブロンドの髪をなびかせながら嬉しそうに駆け寄ってくる子供。

その後に続き焦ったように追いかけてきた子供もまた遠慮がちに部屋に入ってきた。



< 502 / 547 >

この作品をシェア

pagetop