ファンタジー・ワールド
イマジネーション
イマジネーション。それは、選ばれしものだけに与えられる力…。

僕の目の前には、かつての賑やかさは少しの面影もなく、ただ、しんと静まり返った街があるだけだ。空は青黒く、不気味な色が渦巻いている。まるで、これから僕に襲い掛かる困難を、暗示しているかのように…。
そして、この時まだ僕は知らなかった。僕に託された、過酷な運命を…。

僕の住む街は、広々とした土地に、家が何軒か立ち並ぶ、平和な場所にあった。都会でもなく、田舎でもないので、とても過ごしやすく、僕はこの街が大好きだ。
そして、薄黄色の壁に赤い屋根、煙突が付いている、一番左端にあるのが僕の家だ。

今日は休日。今年で小学生になる、弟のジョンと妹のエミリーは、近所の子供達と、道路でスノーボードをしたり、サッカーをしたりと楽しんでいる。そんな姿は、本当に微笑ましい。ジョンは、パパに似て、赤茶色の髪をしている。エミリーはママに似て、きれいなブロンド色だ。僕は、誰に似たのか真っ黒い髪。背はそんなに高くないが、すばしっこさでは、誰にも負けない。

僕はいつも、木にくくりつけて作ったハンモックに、一人 横になり、読書をしたり、空を見上げたりしている。一見 孤独な少年に見えるが、ちゃんと中学校に友達もいる。遊びに誘われても、僕は決まって、「いいよ。僕はこうやってるのが好きなのさ。」と応える。「また、いつものレオに戻ったぞー。」友達のクリフがふざけて笑う。と言うのも、僕は学校では、相当な悪だからだ。
クリフと僕は、しょっちゅう いたずらを仕掛けて、先生を困らせている。例えば、先生の背中に「トイレ使用禁止」の紙をはったり、靴の中にそっとヒキガエルを入れて置いたり。こんなのは、まだ序の口で、この間は、校長先生の愛車に落書きをした。その時は、さすがに親を呼び出され、散々な目に合った。それでも、いたずらは止められない。

僕はハンモックで横になりながら、いつも想像するんだ。もし、あの雲でも何でも、思うように操れたら…。自由に空を飛ぶ事が出来たら…。考えただけでもワクワクする。

「レオー。もうすぐ夕食だから、ジョンとエミリーを呼んできてちょうだーい。」ママが窓から呼んでいるのが聞こえる。

今日も家族そろって夕食を食べ、明日に備えて、早く寝ることにした。明日から、また学校に行くと思うと体が重い。

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