あひるの仔に天使の羽根を

・愚鈍 煌Side

 煌Side
*****************

おかしな具合になってきちまった。


緋狭姉が現れたから、絶対何かあるとは思っていたがよ。


服着替えさせるわ、榊を従えてるわ、しまいには月まで手下?


緋狭姉は突拍子もねえことやらかすの好きだけれど、俺の知らねえ処でやりすぎだろ。


大体、榊ってのは桜襲ったし、月は玲を襲ったし。俺を襲った蓮とかいう名の女は…"別口"って何だ?


まだあんのかよ、緋狭姉。


緋狭姉は…本気か冗談か、時々判らねえくらいの殺気、(特に俺に!)向けることあるがよ、緋狭姉が俺らを殺そうとするわけねえ。


だから、それは俺達のベストであり、必然なんだろ?


緋狭姉の予見では、俺らが"死に目"に遭わねば、俺達が殺しあっていたかもしんねえんだろ?


絶対ありえねえって思うけれど、緋狭姉は"可能性"を見たんだろ?


そして現れた。


暗躍が好きな緋狭姉が、此処で手札見せたってことは、それくらい切羽詰った事態になったんだろうな。


櫂がいなければ、此の場で事態を理解できるのは玲くらいなもんだ。


玲は端麗な顔を険しくさせて、ぶつぶつと"邪悪"な木が何だとか呟いてたから、何か思い至ったのかも知れねえけど俺はてんでさっぱりだ。


そして突然緋狭姉による3組の発表。


"神格領域(ハリス)"は、緋狭姉と桜。


"中間領域(メリス)"は、玲と榊。


"混沌(カオス)"は、俺と月。


いいのかなあ…こんな組み合わせで。


大体俺は、子供が嫌いなんだ。


なんでその俺が、チビガキと組まねばならねえんだ!!!


そう緋狭姉に文句言ったらよ、


――精神年齢はお前の方が下だ。


どうしてそれに対して誰もフォロー入れてくれねえんだよ。


「きゃははははは」


月はただあの甲高い声で笑うばかりだし。


つーより、意味判らねーだろ、お前ガキだし。


大体お前、紅皇っていう偉大な存在に使われているっていう自覚、あるのか!!?


俺は精神年齢の差を見せつける為、イロイロ突っ込みたいのをぐっと堪えて大人の対応だ。



< 1,111 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop