あひるの仔に天使の羽根を

・現実

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全ては謀略で、そこには何の愛情がないと

荏原…白皇は冷然と語った。


食べられて"力"と成って死ぬ片割れと、"構想"を現実化出来る片割れ。

双子が役割さえ果たせばそれでよいのだと。


そして――

久遠の肉体の中にいる刹那が、現実に存在している。


全ては、計画の内の1つだと、白皇は笑う。


結果的には何も変わらないのだと、彼は笑う。


永遠たる愛を示す意識と、永遠を生きる肉体の融合は間もなくなのだと、彼は笑い続ける。


そして昂じた様子のまま、独白を続ける。


如何に各務翁と藤姫を憎悪していたか。


如何に彼らの望む"永遠"に乗るフリをして、利用してやったか。


如何に"彼女"を愛し、"永遠"を望んでいるか。


如何に各務翁が天使を貪り、双子の父たる各務翁の息子が天使の"食"と増殖を目的とした淫蕩に耽ったか。


如何に双子の母たる…"彼女"の娘の須臾が、恐怖と美醜に狂って実の息子達に手を出したか。


如何に双子の義理の妹が、早老症を発症しても尚刹那を狂恋し…刹那を手に入れる為の…母親を超える権力を持ちたがったか。


如何に双子の父の弟が、身近な者達の狂態に精神を崩し、自分しか愛せなくなった挙げ句…同じ顔の甥に邪恋を募らせたのか。


如何に双子の義理の弟が、事情を知るが故に…各務翁と瓜2つの顔を忌み嫌っていたか。


「あの方は…唯一の各務の生き残り。各務の良心でしたな。私の計画の全貌は判らねど…利用されている現実を変えようと、儀式を強行しようとした須臾様を説得しようとして…醜さとの接触を嫌われた須臾様に殺されてしまった。まあ…結果的には良かったですがね」


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