あひるの仔に天使の羽根を

・感情 桜Side

 桜Side
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どうして私は、馬鹿蜜柑を見るといつも苛立つのか判らない。


図体ばかりがでかくて、

色ばかりが強くて。

粗野でがさつで乱雑で。

考え方は単純で幼稚で。


――紫堂の為に生き、紫堂の為に死ね。


紫堂こそが己の墓場だと

頑なにそう信じる私のように

相応の…紫堂が望む経験を積んだわけでもないのに。


周囲から一目置かれて

ちやほやされている。


あの五皇の緋狭様でさえ、

制裁者(アリス)という殺戮集団の

数ある精鋭の中から

わざわざ煌だけ選んで手元に置いた。


例え緋狭様に記憶を消されていても、

あの男のやらかした8年前の罪は大きいはずなのに。


紅皇の慈悲深い恩赦が、多大であるということさえ気づかず。


そんな恩人の妹の幼馴染だからと、

櫂様に気軽に接するその厚かましさ。

特別扱いされていい気になって、

紫堂に純粋培養された私と同じ立ち位置で、

いや、それ以上の親密さを見せつけて
主と同じ位置からものを喋る。


さらにはその主の唯一無二の想い人を

後から出た身のくせに勝手に横恋慕して、

手に入れたいと動く始末。


その為に櫂様がどんなに苦しまれようと、

あの忍耐強い玲様の顔を崩しても、

己が色を強烈に残そうとする馬鹿蜜柑。


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