あひるの仔に天使の羽根を

・荒廃 煌Side

 煌Side
*****************


どうしてどうして俺じゃない?


どうしてどうして玲なんだ?



俺の手をとってくれなかった芹霞。


俺を拒んだ芹霞。


嫌でも再現される場面。


芹霞は――

俺を追いかけてこねえ。


俺の処には来てくれねえんだ。


こんなにこんなに、芹霞を求めているのに。


こんなにこんなに、好きで仕方が無いのに。



強制終了…されたのかよ。


終わらせられたのかよ、俺の想いは。



「痛ぇ……」



気づいたら、俺の胸からは血が流れ、服に染みていた。


無意識に痛む胸に手をあてた手は、爪をたてていて。


肉に到達寸前で、現実に帰った。



痛えよ。


凄い痛えんだよ!!!



「――うあああああ!!!」


俺は身体を仰け反らせて叫ぶ。


まるで手負いの獣のように。



心に荒れ狂う芹霞への想い。


治まらない。


止める方法があるなら教えてくれ。


意識が心の痛みにぶっ飛びそうだ。




< 827 / 1,396 >

この作品をシェア

pagetop