あひるの仔に天使の羽根を

・宵闇

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緋狭姉は一体何しに此処に来たんだろう。


どうして色々知っているのだろう。


凄く疑問に思ったけれど、緋狭姉に関しては常識が通用しない。


色々考えたけど、全然答えが出ないからやめた。


頭の中が疲れるだけだ。


それがいつも通りの…緋狭姉に対するスタンス。


気づけば皆話しこんでいて。


何だか緋狭姉の言葉から思いつくことがあったらしいけれど、彼女の言葉で理解出来たことが半分にも満たないあたしは、置いてきぼり。

溜息をついていれば、同じように溜息をついている煌と目が合って。


「……何よ?」


「いや……俺はお前と同じレベルなんだなって」


どういう意味よ、と怒鳴りだす寸前、櫂の声が聞こえた。


「屍食教典儀は……」


あたしの注視はその言葉にそれた。


確かその響き、夢の中にもあった。


「夢の中で、湖に浮かんでいた本……そんな名前だったよな…」


「え?」


皆の視線があたしに向く。


「久遠所有で、旭くんがそれ奪って読んでいて湖に落っことして。セツナっていう人が優しく旭くんを許してあげてたけれどね…夢の中では」


あたしは13年前に、彼らに会っているらしい。


幾らそういわれても、全然記憶がない。


何となく会ったことがあるのかなって思うのは久遠だけで。


大体。


会っていたなら、覚えていたのなら、旭くんもそう言えばよかったのに。


――また会えて嬉しかったです。

――ずっと待ってたんです。

――ぼくも、あのヒトも。

――例えあなたが忘れていても。



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