TENDRE POISON ~優しい毒~
はじまりの予感




◇◇◇◇◇◇◇◇




あ、雨……



雨は突然降りだした。


しとしとと、音もなく。



あたしは教室の窓の外をぼんやりと眺めた。



雨は嫌い。



あの日を思い出すから―――







―――……一年前―――



「乃亜姉入るよ~」



あたしたち家族は隣の家の楠(Kusunoki)家と親しくしていた。



乃亜姉とは一こ歳が離れたお姉さん。



生まれてからあたしたちはずっと一緒だった。



実のお姉さんみたいに思ってたんだ。



「乃亜姉いないの~?」



いつもならあたしが来たら、走って出迎えてくれるはずなのに……



「乃亜姉?いないの?」



あたしは無断でリビングまで歩いていった。








リビングを開けると……






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