約束の日
PM8:30

「あー!わかんねぇ!」

男は、文章の締めの言葉を必死に考えていた。

つい先程までの数分間、面白いように文章が閃き、流れるようにペンが進んでいたのに…

肝心要の締めの言葉に差し掛かって

男の手はピタリと止まった。

突然電池を抜かれたロボットのように。

いくらそれまでの文章の出来が良くても

最後の一文次第では全てが水の泡になる。

こだわりの強い男は

この一文にも並々ならぬ思いを込めようとしていた。
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