約束の日

携帯電話に手を伸ばしかけては、止める。

女の不安はピークに達しようとしていた。

電話をかけようか。

だが、何らかの事情で忙しいのであろう男の邪魔をするわけにはいかない。

かと言って、待たされるのは決して好きではない。

「あー…もう!」

不安を通り越して、苛立ちとも心配ともつかない、もどかしい感情が女の心を支配する。

男が約束を違えるような人間でないことは十分分かっている。

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