約束の日
PM8:15

「…もうすぐ終わるから。そんな焦らせるなよ。…うん…大丈夫。間に合うから。じゃあ。」

携帯電話を畳むと、男は大きく溜め息をついた。

電話の相手は、約束の時間、すなわち午後9時ちょうどに会うことになっている女。

時間が近づいてもなかなか連絡がないことから、急かすような電話をしてきた。

「俺だって間に合うように必死にやってんだよ…」

思考を巡らせ、ペンで紙に文章を書き連ねては丸める。

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