舞風─君をさがして─

血のゆくえ

「近藤さん、千鶴にもちゃんと説明した方がいいんじゃねぇか」

私の思考回路が止まっていることに平助君が気づいてくれたみたいだ。

「悪い、悪い!!そうだったな。実は今日ここへ集まってもらったのは、遅刻の罰ではないんだ。まぁ、それは表面上の建前としてであって、本当の目的は『新撰組』としての任務を遂行してもらうことにある」

「『新撰組』……ですか」

「このメンバーには遅刻の多い、平助と総司に加え風紀委員の斎藤、お前たちの担任の左之と数学担当の新八、あとは教頭の歳と保健医の山南君が入っている。そして、雪村君、これもきっと何かの縁なのであろう……君にもこれからは仲間に加わってもらうことになる」

「は……はい」

この学園の裏事情に踏み込んでしまった以上、イヤとは言えないのもまた事実である。

「ところで近藤さん、犯人の目星はついているの?」

沖田さんの質問は的を得ていて鋭い。

「まだ百パーセント確実とは言えないが、おそらく山南が絡んでいるとは思う」

「あの人……か。自分も『新撰組』の一員くせにしょーがない奴だぜ、ったく」

平助君は完全に呆れ顔だ。

「とにかく今夜はお前たち三人で調査してくれ。くれぐれも無茶はするなよ、やばくなったら俺か歳に連絡を入れること、分かったな」

「了解っ!!!!!」

私たちは学園長室を後にした。
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