同棲彼氏

癒鶴 来たる

あのテレビ収録があってから一週間。



癒鶴は毎日、家に電話してくる。



めんどくさいので、癒鶴からの電話って分かると、ブチッって切る。



だけど、諦めずに一日一回は電話してくる。



ひどいときは一日三回(癒鶴もヒマだな・・・)。



だから、今日も二回目の癒鶴からの電話が鳴って困ってます。



私は決意を決めて電話に出た。



<あ、やっと出たー>

「何、用?」

<あ、優美さんですか。な~んだ。真湖斗さんは?>

「さぁ?」

<ひどいですねー。住所教えてくださいよ>

「ヤダ。あのさ、これ以上電話しないでくんない?」

<それこそ『ヤダ』ですね。あたし、真湖斗さん絶対に優美さんから奪ってみせますから>

「あのさ、こういうのすっごい迷惑。こんなことしてると真湖斗に嫌われちゃうよ?」

<・・・>

「だからもうこれ以上電話してこないで。これ以上してきたら警察に訴えてやる。次の日の新聞には『モデル 癒鶴 デザイナーのMakotoに迷惑電話』っていう見出しがつくわね」

<・・・>

「じゃあね!」



私はそう言うと電話をガチャッ!と切った。



「真湖斗、一通言ったから。アイツ、最後のほう『・・・』ばっかりだったからもう電話こないと思う。黙ってるの大変だったでしょ?お疲れ」

「優美すげぇ・・・」



それから二週間は、何事もなく過ぎていった。



だけど、そんなある日・・・。
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