ヒミツの恋の方程式
いや、でも。


いくら天使の囁きに聞こえたからって、今のこの状態で、聡の言葉になんか、耳を傾けたりしないんだから。


強い強い決心で、その場を立ち去ろうとしているのに、


「あれ?」


なぜか体が動かなくて。


そればかりか――…


「雫。
まずは、言葉でわからせてあげる」


そんな妖艶な聡の言葉に、頭で考えるよりも早く足が動き、


「ん、いい子」


気がついた時には、部屋の中、あたしの後ろで聡がガチャリとカギを閉めるところだった。

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