電話越しの君へ


去年の夏、文化祭。



前から少しだけ可愛いなって思ってた、うちのクラスの綾瀬くるみ。



ぴったりな可愛い名前にも関わらず、皆彼女を綾瀬と呼ぶ。



だから俺も、一度だけその名前を呼んでみることにした。



「……綾瀬」



すると彼女はとびっきりの笑顔を俺に向けて、「なに?杉本くん」と小首を傾げてみせたのだ。



その笑顔に、その声に、俺はあっさりと恋に落ちた。



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