ヴァンパイアの花嫁 番外編③

12

正気に戻ったティナだが、身体の自由は薬に奪われたままで人形のように短髪男に抱きかかえられるだけだ。



「ティナ……」


「さあ、どうしますか?私を逃がすのが一番ですが」



「お前はどこにも逃げられない」



レオンが鋭い視線を短髪男に投げかける。



「死ね」



レオンが言った瞬間、背後から長い剣が短髪男の心臓を貫いた。



一瞬で短髪男は灰になり床にたまる。


支えられた腕を失い、ティナの身体が床に倒れる。



「ティナ!」


レオンは駆け寄り、ティナを抱き上げる。



「ティナ!ティナ!」


意識を失ったティナはレオンが抱き上げても目蓋は開かない。



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