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新撰組総長・山南敬助は "江戸へ行く" と書いた置き手紙だけを残し、その姿を消した。

広間に集まったのは、山南を古くから知る数名と手紙を一番に見つけてしまった矢央のみ。


「どうして、こんなことに…」


事を知った近藤は、はっきりとした情報が入るまでは山南の事は極秘扱いとする。

皆が事実を受け入れられず、悲痛に顔を歪めていた。


「な、なあ…これってさ、ちょっと気晴らしに出掛けただけじゃないの?」


藤堂の必死の様子は痛々しいものがあり、仲が良い永倉や原田でさえ口を挟むことことが出来なかった。


「だってほら、江戸へ行くって置き手紙残す? わざわざ…そんなことして脱走なんて…さ」


言いながら次第に目に涙を浮かべる藤堂は、グッと拳を握り座り込んだ。

その藤堂の肩を左右から、ポンと叩く永倉と原田は、先程から一言も口を開かない土方を見る。



「いくらご託を並べても、本人がいねぇことには話は進まねぇ」


ようやく開いた口からは、大量の紫煙が浮かび上がった。


「今、観察方に行方を捜させてるところだが……」

「山南さんを…切腹なんてさせないよね?」


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