希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~
信じる奇跡
――SAE view side――


『近すぎて見えないくらいの君が言った』・・・


あたしはノートに文字を綴る。


「のお・・・紗恵、何書いてるんや?」


「あ、優子姉。新しい曲だよ~」


「ふぅん・・・紗恵って作詞しない人だと思っとったけど・・・そうでもないんやね」


「・・・何言ってんの、優子姉。オリジナルは全部あたしが書いてんじゃんっ」


「ナイスツッコミや!」


あたしは控室で歌詞を書いていた。


いつもはメロ先といって作曲が先なんだけど、今日は綴りたい想いが溢れた。


「でも今度の曲は全部日本語だから。」


「え!?オリジナル曲で日本語って・・・紗恵なんかあったん?」


「何か・・・か。あったかも、ね」


「なんやその微妙な言い方ぁ!」


「ハハっ。あった、あったよ。」


あたしの中に泉先生の言葉がよみがえる。


『強く、なれるよ』


“君の言葉で紡がれる奇跡 あたしは信じられる気がする

 この手でつかみ取るの あたしにしか描けない世界”


「・・・いい。」


「アカリ!?・・・神出鬼没だなぁ・・・」


「それ、超いい。・・・紗恵のくせに明るい曲書くんだ」


「・・・なにそれ。まるであたしが暗い曲しか書かないみたいな・・・」


「まぁ、褒めてんだからいいじゃん。」


アカリはクールなポーカーフェイスを崩して笑った。



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