やくざと執事と私【第3部 下巻:ラブ&マネー】
「・・・・・・・・・私は、執事ではありません。」
「えっ?でも・・・・・。」
サブは、異常な龍一の雰囲気に気づき、それ以上、言葉を続けられなかった。
「・・・私は、ただの水島龍一です。」
そういい残すと、龍一は、アクセルを吹かし、大音量とともに、その場からもの凄い勢いで走り去っていった。
その場に取り残されたサブは、呆然としながら、つぶやく。
「・・・・・・・・・ただの水島龍一って・・・・執事さん、水島って苗字だったんだ。」
サブは、ちょっとずれたところで納得していた。
サブが、ふと、横を見ると、屋敷の玄関のところには、熊さんが、笑顔で立っていた。
そして、その首から何か書かれた紙が、ぶら下がっているのが見えた。
屋敷に入る事は、禁じられていたサブだが、状況が状況だけに気になり、龍一が出て行ったこともあり、つい出来心で熊さんの側まで寄ってみる。
そして、熊さんの胸元にぶら下げられていた紙を読んだ。
『料理長兼、執事兼、組長 熊さん』
「・・・・これって。」
サブは、あまりの衝撃に思わず腰をぬかして、その場に座り込んでしまった。
「執事さん・・・・・やめちゃったぁ~!!!!!!」
サブの叫びは、周辺1kmに響き渡っていった・・・・・・。