「信長様、お市様がお待ちでございます」


下男が膝まづき、頭をたれながら告げた言葉に、俺は目だけ下男に向けた。


「やっと来たか。
わかった。すぐに行く」


俺は下男を下げさせると、誰もいなくなった部屋でククッと声をもらした。


やっとの対面だな、市よ。


桜の木の下で会ったときは、まさか俺が信長だとは気づいておるまい。


対面した時の市の驚く顔が見物だな。


俺はゆっくりと立ち上がり、部屋を出た。


市が待っている部屋に向かうために。


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