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00 出会う
世界は生憎僕に優しく出来ていない。
つまるところ、幼い子供のように夢を見続けるのは不可能ということだ。当然の様に周りは諦めろと言うが残念ながら僕はそんなつもりは毛頭もない。

だけれどそうやって食いつないでいけるかといったらまたそれは別の話で。

「んじゃ、お疲れ」
「また明日な」

友人の飲食店の手伝いを終え、僕はゆっくり石畳の上を歩きだした。出るものは、溜息ばかりだ。
肌寒く肌をさらしている街路樹を眺めながら高級住宅街のある通りを抜け、病院前をいつも通り歩く。



そして、それは起きた。



「そこの黒い外套の方、申し訳ありませんが受け止めて下さい!」
頭上から、僕より少し若そうな少女の声が降ってきた。黒い外套は僕のことで、というか今この細い通りには僕しかいない。訝しく思って上を見た。

「―――え」


僕の顔に影がかかる。

上から、少女が降ってきた。
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