砂糖水に溶かした日常


お目当てのものなんて、なかった。
お金だって、財布に入っていた。
とりわけそれが欲しかったわけでもない。

たまたま、目についたのだ。

どれでもよかった、と言えば、あなたは首を傾げてしまうだろうか。


私はコンビニ店内を見渡して、店員が怠そうにレジ打ちをしている隙を見て、店内の隅にある小さなコスメコーナーの棚からマネキュアを一つ手に取りブレザーのポケットに忍ばせた。

そして、走り去る。
自動ドアを通り抜けた瞬間、防犯ブザーがけたたましい音を響かせて私を威嚇した。

店長らしきおじさんが店の奥から出てきて怒鳴っているのが、分かった。


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