【短編】夕暮れビターチョコレート


――私はとにかく遠くまで走り、息を切らして公園のベンチに腰掛けた。


公園のベンチからは夕日が真ん前に見える。


夕日を見たら、もっと切なくなって涙がとめどなく溢れ出した。



……私はずっと恭にいのこと想ってきたのに、何でよ…?


初恋だったのに、……こんなに簡単に終わっちゃうの……。



こんな想いなんて、

この夕日と一緒に沈んで

消えてしまえばいいのに――。



私はチョコのことを思い出して、鞄から取り出した。


せっかくきれいにラッピングしたのに、私は雑に開けてチョコを出す。


誰ももらってくれないんだから、自分で食べちゃえ。



そして、やけになって口に放り込んで広がった味は、


苦い苦いビターチョコレートの味と、


しょっぱい涙の味だった……。


これが私の初恋の味。


次は絶対、甘いミルクチョコレートみたいな恋をしてやるんだから――。



―――End―――

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