幕末怪異聞録

嵐の前の……




それから三日後……



「う~~…。今日もさみぃ……。」


羽織を羽織って外に出ようと立ち上がった時雨。


実はまだ屯所にいた。


体力は回復したものの出て行くタイミングを逃していたりいなかったり……


「って、雪積もってんじゃん!
そりゃさみぃはずだ……。」


八木邸の中庭は雪が積もっており、一面銀世界だった。


「時雨ー!すげぇよ!雪!」


走り回っているのはやはり狼牙……。


「そうだな…。遊んでおけ。」


「おうっ♪」


(馬鹿みたいに騒いで本当に餓鬼だなぁ……。)


などと内心毒を吐いていたら、土方が部屋から出てきた。


「ったく……。馬鹿みてえに騒いで……。
全く…餓鬼だな。」


時雨の内心と同じ事を言った土方は、狼牙ではなく、その近くではしゃぐ三馬鹿……原田、永倉、藤堂に目線をやった。


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