月影

2

「どうしたの?」

リビングでカチャカチャとパソコンをいじっている玲子の背中に、そっと小太郎はもたれかかった。

「いや、なんでもない…」

そう答えるものの、玲子から離れる気配はなかった。

「…幸姫のことでも、思い出した?」

苦笑いしながら聞く玲子。
小太郎は何も言わず、玲子の背中に、自分の背中をもたれかけた。

「…先日出会った少女に、また出会った」

ポツリと呟く小太郎に、玲子は嬉しそうに微笑みながら聞く。

「どんな子?」

玲子の言葉に、小太郎は少し躊躇いながら答える。

「何故かはわからないが…その少女を見て、幸姫を少し、思い出したんだ」

「そう…」

小太郎の言葉に、玲子はキーボードを打つ手を止めた。


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