課長さんはイジワル
第275話 楽しいひととき
それからは、もうまるで老人会の発表会なんだか、幼稚園のお遊戯会なんだか……。

村人総出の発表会が始まる。

体育館にあるステージみたいなのまであって、盆踊りの発表会まで始めるし……。

ん?

こ、この曲は!!

炭坑節だ!

うずうずしていると、

「ゆきっぺも踊るべ!」

近所のおトメさんが私の手を引いて、サプライズで私も参加する。

♪月が~出た出た~。月が出た~(よいよい)♪

気付けば、課長まで駆り出されて踊りの輪の中に入っている。


課長ってば、ダンスはチョー上手なくせに……

下手すぎる~!!!

でも、楽しーーーーいっっ!!


みんなが、課長を指差してゲラゲラ笑ってる。

でも、開き直った課長のメチャクチャ踊りが、どんどんかっこよくなってきて、村のばぁちゃん達の胸をトキメカせている模様。


課長の紋付袴での盆踊りが、次第にビシビシ決まってくる。

「ほんなごて、良か男た~い……」

なんてうっとりして、ばぁちゃん達が次々と昇天し始める。


やっぱ、課長はかっこいいや。

このかっこいい人が私の旦那様なんだ……。

改めて惚れ直す。


課長の踊りを一目見ようと、村のばぁちゃんがアリーナ席を自作して、ちんまり座布団の上で、やっぱり寿命を延ばしてる。

みんながお腹を抱えて笑って、泣いて……。

気付けば、あっという間に8時間にわたる披露宴が終わりに近づく。


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