一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》

星の瞬き


―ねぇ夢月?

「…マ…マ……?」


もういないはずのママの声が聞こえた。


―夢月……

「…パ…パ……?」

パパの声までっ…。

溢れだしそうになる涙を必死に堪えて体を起こした。

「あ……星が……」


立ち上がると、あたしは星空の下にいた。まるでプラネタリウムにいるみたい。

―夢月…

「ママ……何処にいるの?」


声は聞こえるのに、姿が見えない。


―夢月…パパ達は、いつもお前の傍にいた…


―空を見上げてみて…?


パパとママに言われたように、空を見上げる。あるのは満天の星達。


「…星が…いっぱい…」


―ママ達は星になってあなたを見守ってる


―どんな時も…いつだって…夢月の傍にいるんだよ


「…星に…なったの…?」


『人は死ぬと星になる』
そんな事を前に聞いた事がある。だから空は、星でいっぱいなんだと…。


―夢月…パパとママは、夢月を………


二人の声が遠くなる。


行っちゃうの…?ならあたしも連れて行ってよ!!もう生きられなくていいから…。


連れて行って………。


星空に手を伸ばす。高くて高くて、手は届かない。


傍にいても…触れられない…。






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