【完】TEARS−ティアーズ−


売店でジュースを買うための、順番待ち。

隣で黙ったままメニューを見上げる郁君を、チラッと見上げた。


郁君の顔は本当に整っていて。

横顔は、かっこいいというより綺麗って部類に入ると思う。

学校でもモテるんだろうなぁ。


そんな事を思って見つめていたら、



「篠原、決めた?」



そうあたしの方を見た。

思わず、パッと顔を逸らし、下を向いてしまったあたし。


あ……今のは嫌な感じしたよね。

だけど、急にこっち向くんだもん。



「なに?」



そんなあたしの態度に怒ったのか、郁君の声は少し不機嫌そうで。



「う、ううん。何でもないっ」

「あ、そ」
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