リサイクルショップ
01

初めてあの小汚いおっさんと会ったのは、何をやってもうまくいかず、最悪という悪魔が僕に取りついてるのかと、思えるぐらいに最悪の時だった。

具体的に話すと

四流大学の最終試験では、全教科赤点を取ってしまい、親父の会社は倒産してしまい、僕の財布には明日を生き抜くためのお金も入っておらず、あげくの果てにアパートの管理人に関西弁で明日からどないすねんと、心配される始末であり、こっちが聞きたいよと思いながらも口にはせず、アパートを追い出された。
無論行くあてもなく、友達に一晩泊めてもらおうと思ったが、僕には思い当たる人はいなかった。
むしろ
友達というのは非現実的なものであると、自分に言い聞かせた。それはまるでネガティブな神、略してネ申に愛されたごときの発想であった。
行くあてもなく、途方に町をさ迷いながら住むところを探してると、今年一番の策略が芽生えたのだった。
その策略とは死刑にならない程度で暴れ犯罪を犯し、そして終身刑となり、刑務所で暮らそうという画期的な策略であった。今思えばネガティブな神、略してネ申に愛され過ぎてるな…僕。
そんなバカの事を本気で考えながらバットを見つけて喜んでいる僕の目の前に正確に言うと真ん前に、今にも破けそうな着物を着て、左手には真っ昼間には不釣り合いな鬼殺しと書いた焼酎を持った、小汚いおっさんが僕の前にいたというのか、出てきたというのか分からないが、そう。それが僕と小汚いおっさんの初めての出合いだった。
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