幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
織田芽衣参上
「う、うん…?」
ここは?
あたし、生きてる?
元の世界に戻ったの?

…ここは。この部屋、見覚えが…。
っ誰か来るっ。

「おお、気がついたか」
高杉さんだっ!
ってことは、ここは高杉さんちだ。
どうりで見覚えがあると思った。

メインキャラが高杉さんに戻ったんだ、きっと。

「どうじゃ、具合は」
…。
ん?なんか、変。
なんか、気のせいかな、高杉さん、こっち見て、話しかけてない?
なーんか、あたし、さっきから、思いっきり目が合っちゃってるような気がしてしょうがないんだけど。
まさか、ね。
あたしの姿が高杉さんに見えるはずないもの。

「まだ、傷は痛むじゃろ」
傷?あ、右肩に包帯が。
「…」
「なんじゃ、口がきけんようになったんか?芽衣」
「芽衣ー!?」
芽衣って、あたしの名前って事は、あたしの事よね?
あたしが、見えてる?
「なんじゃ、いきなり、大声出して」
…。マジだ。
本当に、あたしが見えてるっ。
「蛤御門で負傷して戻ってから、ずっと意識が戻らんままじゃったからのぉ」
「じゃ、あたし、あれからずっとここに?」
「おお、そうじゃ」
っ!答えた…、あたしの問いにっ!

間違いない。
あたし、透明人間じゃなくなっちゃったんだっ!!!
< 20 / 43 >

この作品をシェア

pagetop