幕末仮想現実(バクマツバーチャルリアリティー)
長州攘夷戦
…。
ん?あたし眠った?んん…まだ暗いな。あっ、けど、なんか、光が…。
ドッワーッ!!!
ひぇー!凄い音!
まるで、爆発したみたいな光だし。ん?爆発?
ドッワーッ!!!
爆発よーっ!!これって!長州が外国船撃ちはじめたんじゃないの!
あ、見えた!やってるやってる。あの黒い船が敵かぁ。えーっと、あの旗は、アメリカだぁ。あのアメリカが手も足も出ないって感じじゃない。結構強いんだ、長州って。あ、アメリカ船が引き上げて行く。

…んん、また暗くなってきたっ。これって、ゲームクリア?のときに起こるワープみたいな現象なのかな…。

今度は、あれは赤白青のフランスの旗ね。
ドドドドドーッ!!
ひゃーっ。200発近く撃ったんじゃない?
おっと、あそこを通ってるのはオランダ軍艦だ。あれも撃っちゃうのかなぁ…って、始まったぁ!容赦無しだっ。
これだけぶっ放したら、攘夷、大成功だね、高杉さん、久坂さんっ。
…って、ぎょえー!
し、死んでるっ!
船の上で、オランダ人が…、血っ、血まみれ…。
戦争なんだ…、これって…。
テレビゲームじゃなよ、紀ちゃん…。

「はははっ、外国も大したことないのう」
「赤子の手を捻るようじゃった」
「ちーと、手応えがなさすぎたのぅ」
「いや、ほんとに。はっはっはっ」
隣に座ってるあたしに気づきもしないこの二人。
知ってる(?)人が高杉さんと久坂さんしかいないから、この二人について行くことに決めたけど、なんか、この二人、ノーテンキっていうか、強気っていうか。
このまま呑気にお酒なんか飲んでて大丈夫なのかなぁ。
どどどっ!
あ、誰か来たみたい。廊下を走る音が物凄い。
「高杉さんっ!久坂さんっ!」
障子がバッ!と開いて若い侍が息を切らせて入ってきた。
「何事じゃ、稔麿」
「アメリカが反撃してきよりましたっ!」
「なんじゃとっ!」
「亀山砲台の方をねろうちょるらしいです」
「ようしっ、わかった。行くぞ吉田っ」
「はっ!」
ほ〜ら、ね。
今、入ってきた人は、高杉さんが『稔麿』って呼んで、久坂さんが『吉田』って呼んでたから、『吉田稔麿』さんって名前なんだろうな。
うふっ、ちょんまげだけど、ちょっと好みかも。
こんな人がいるなら、こっちの現実も悪くないかな。
なーんて、ははっ。
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