エリートな彼に甘く奪われました
「あれ、着替えてなかったの」

彼に聞かれて

「あ」

と自分の姿を見る。

今まで腰が抜けてました、なんて言えないわ…。

「あ、じゃあ、私も行って来ますね」

そう言って浴室に向かった。


バスタブに身を沈め、

「先ほどまで彼もここにいたんだわ」

そう思うと何故か身体の奥がじんっと熱くなる。

「どうしちゃったのかしら」


そう、呟きながらも本当は自分で分かっていた。

自分が今、欲しいもの。
彼の全てに触れてみたい。

……欲。

そんな、本気で相手にされる訳ないのに…。

初めて感じるその衝動に私はただ、戸惑っていた。



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