赤い狼 壱

:意外と優しい狼さん






それから隼人と他愛ない会話をしながら暫く歩いていたら、さっきの建物の裏側にある倉庫に辿り着いた。



建物の裏側なのに凄い時間かかったっていう事は、私の想像をはるかに越えるほど《SINE》の建物は大きいって事か。



さすが、金持ちのやる事は違うね。



ほほう、と感心する。その顔を隼人に、ゴリラだ、と言われた。黙ってろ、狼。




隼人の背中にパンチを食らわせながら倉庫の中に入る。





すると―――





「す、すご…。」





ツナギ姿で油まみれになりながらバイクを真剣にいじっている男の人達がいっぱい居た。




うわぁ…。男の人が好きそう。



何台も綺麗に並べてあるバイクを見渡す。これ、全部で何台あるんだろう。



ざっと見、三百くらいあるバイクを見つめる。




「これでもまだ三分の一だ。」



「三分の一!?」




隼人の言葉に過剰反応をみせる。



こ、こんなに凄い数のバイクが並んでるのにまだこれでも三分の一!?




全部で九百台くらいになるよ!?《SINE》って凄い!




凄い、という単語しか頭に浮かんでこない。


暴走族…恐るべし。




< 95 / 299 >

この作品をシェア

pagetop