これは、事実
思いを伝えて

翌日。
私たちは、先輩たちの卒業式を迎えた。
式が始まる前、私は和子の手伝いも借りて早瀬川先輩の姿を探した。けど私たちはどっちも目が悪くてよくわからなかった。
先輩の生存が確認できないまま、卒業式は始まった。
卒業証書は、代表の卒業生が一人で全員のを受けとった。
国歌と校歌を歌った。
随分カットされたけど、校長先生や教育委員会の式辞などは、長ったらしくてしょうがなかった。
そして、卒業生の発表。
卒業ソングを合唱で歌う。
その歌声を聞きながら、私は考えごとをしていた。
東日本大地震。
それは、我が国日本に、大変な被害をもたらした。
死者、行方不明者が何人も出た。これからまだまだ増えるだろう。
被災地では、まだ救出されずに避難所で寒さに震えながら過ごしている被災者がたくさんいる。
地震により、他の問題もたくさん起こった。
でも、地震なんて、起きなきゃよかったのかな……?
私は……。
「一同、起立!」
「…あ…、あわわ」
号令がかかって、私はワンテンポ遅れて立つ。
気づいたら、歌も終わっていた。
「これにて、卒業式を終了致します」
「へ?」
どうやら、卒業式は終わったようだ。
「卒業生は退場してください」

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