アクアマリンの秘密【外伝】
紫色の瞳が私を捕える。



「それは何の謝罪だ?」

「…私が今までしてきたこと全てに対してだ。」

「そんなものなら必要ない。」

「お前には…謝らなくてはならない。
お前は私の命を救ったのに…私は華央を救わなかった。
…むしろ私は…ビシアスにするために…死した華央の身体の時を止め…挙句…お前との記憶まで…。」



出来れば一生、自分の口からこの言葉を言いたくはなかった。
軽蔑されるのはもちろんだったし、言ってしまえばそれは無かったことに出来ない。
言葉にするということは、それを肯定するということだから…

過去は変えることが出来ない。
それは分かっていたことで、それを分かっていたのに私はイアル様を選んだ。
どんなに間違った道だろうと、それでも私は…。



「…華央を守れなかったのは俺だ。
お前は関係ない。」



『関係ない』
確かにその言葉は間違っていない。
それなのに、やけに胸に突き刺さる。
これが『心の痛み』というものなのだろうか?


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