先生が生徒を監禁して


「しないの?」


「してほしいときは言ってください。まあ、三日目あたりで我慢できなくなるでしょう」


「お風呂なら自分で入る」


「その場合、俺の監視付き、となりますが」


それでは前者の初めては、に背くことになる。


言わずもがな、夏川は首を振った。


――さて。


「きゃ」


と、軽い悲鳴をあげた夏川は、襲われるとでも思ったのだろう。


事実、俺がやっているのはギリギリなところだ。


拘束された手を握りしめ、夏川の顔面すれすれで止まる。


ふうと息を吹きかければ、びくりと反応する夏川。


目と目が合う。

親近感を味会わせるための行為だった、これは。


人間脳は心理学を少しかじっただけで分かる。


目と目があい、夏川がそらすが、時折、気まずそうにこちらを見ては背ける。


その繰り返し。


襲われる、と思っていた顔が、襲わないの?となる。やがてはじれたくなったのか。


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