眠れぬ夜は君のせい

├Ageha Side

隠していた秘密がバレた。

でもあの人は、何もしなかった。

わたしを世間に突き出さなかった。

ただ、わたしに自分の血を捧げた。

そして、わたしを抱いた。


眠った彼は、いつもとは違って幼い感じがした。

そっと、髪に手を伸ばした。

ツヤのある、柔らかな黒髪。

なでた後で、首筋に視線を向けた。

うっすらと、赤い花が咲いていた。

わたしが彼――正宗様につけた、小さな跡である。

「――つけるつもりなんて、なかったのに…」
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