渇いた詩
車に戻ると蒼さんは何も言わずに車を発進させた。



美奈さんはあたしより小さな体であたしを包んでくれた。



この二人はあたしと久弥が出した結論をわかってるんだろうな。



それがすごくすごく、有り難かった。




出会いは最悪だったけど、



『あ、あんた、誰?』


『は?覚えてないの?』




久弥に振り回されてばっかりで、




でも、こんなあたしを初めて“女性”として見てくれた唯一の人。



久弥に出会えて、




愛して、



愛されて、





幸せだった。




久弥、ありがとう。
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