渇いた詩
「サク先輩っ!!やっぱりここにいたぁ」


6階の非常出口を出て5階へ下る踊り場。


ここはあたしの憩いの場所。


「何、三橋?用事?」


煙草に火をつけながら非常出口の扉が開いて目を向けると後輩の三橋佳奈がニコニコしながらやって来た。



「編集長からSky Fantasyのディナー券もらったんで今夜一緒に行きません!?」

「そこって予約待ちが凄いレストランでしょ?編集長よくディナー券なんて取れたな」


ディナー券を見ながらあたしの隣でそう言ったのはあたしと同期の清水亮太。


そこそこかっこいいのに女の子と仲良くなっても“良い人”止まりで終わるかわいそうなやつ。
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