渇いた詩
誰かに相談したいけど、


こんなこと誰にも相談できなくて。



あたしは不安で眠れない夜を過ごした。



次の日、



会社に有休を申請して、あたしは久弥のマンションへ向かった。



久弥のマンションはいつも久弥の車で行くけど、今日は初めて電車で行った。


2回の乗り換えに苦戦しながらもなんとかたどり着いた。



久弥に会ったら何て言おうか?



そればかり考えていた。



久弥のマンションの前に着くと緊張して足がすくむ。



もし、久弥に拒否されたら。



「すみません、もしかして桜ちゃん?」


マンションの前にいたあたしに声をかけてきたのは知らない女性だった。



「誰、ですか?」


「桜ちゃんよね!?うわぁ!!写真で見るより美人さん!!」


その女性はあたしの質問を全く無視して目を輝かせた。
< 97 / 114 >

この作品をシェア

pagetop