ありのまま、愛すること。

母が守ってくれている

この佐川急便での日々は、約1年で終了しました。

目標通りに、300万円が貯まったからです。

このときも、所長から「本部勤務に推薦するから」と慰留されています。

本部で課長クラスにもなると、一気に月収が70万円くらいに跳ね上がります。

でも、それが生意気なんですが、それ以後の昇給ではなかったのです。私の目的は。

だからやはりここでも、自分の決意が固いことをハッキリと申し上げて、会社を後にしました。

この1年間は、経営の勉強も、飲食店のリサーチも、なにひとつできなかった。

本だって読んでいない。

精神的にも肉体的にも余裕がなく、大好きな本にだって、手が出ないんです。

極限状態に追い込まれていくと、人間はなにもできなくなるのは当然。

なにもできなくなると、今度は心にゆとりがなくなります。

ここまで追い詰められるんだったら、お金が貯まる前に自分が壊れてしまうという危機は絶えずありました。

辞めたい─。

それは何度思ったことか。

逃げたいと思う自分と、いや、逃げちゃだめだと踏み止まる自分。

ふたりの私が、私のなかで闘っているんです。

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